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木魚の由来は「魚は眠らない」から!?読経するときにたたく意味と購入価格まで解説

お仏壇

お坊さんがお経を唱える際には必ずといっていいほど付き物である木魚は、お葬式や法要ではよく見かけるものの、一般的には謎が多い仏具にも思えます。「ぽくぽく」というユニークな音色、独特な形状、精緻な彫刻。なぜそんないい音が出るのか、どうしてまったく魚に見えないのに「木魚」という名前なのか。

今回は木魚の構造や由来・歴史、たたく目的など、さまざまな観点からお話していきます。

木魚とは

木魚はお坊さんがお経を読むときに用いる仏具のひとつです。どんな特徴を持つのか、その由来や歴史はどのようなものなのかを見ていきましょう。

木魚の特徴・構造

木魚はひとつの丸太から中をくりぬいて空洞にした丸い形状をしていて、口の部分は狭くなっています。専用のバチでたたくと「ぽくぽく」という独特な音が鳴ります。小さいものでは直径6センチ、大きいものだと1メートル以上のものも、お寺では見られます。大きいほど重厚な音で、「ぽくぽく」ではなく「ドッドッ」という迫力のサウンドを奏でます。

木魚に使われる材木は、主に楠(くすのき)・桑(くわ)・栓(せん)・欅(けやき)などで、特に楠は木目が入り組んでいることでたたいても割れにくく、丈夫な仕上がりになります。

木魚の由来・歴史

なぜ「魚」?

木「魚」という割には、魚とはかけ離れた形をしていますが、もともとは本当に魚のままの形を板に彫ったもので、「魚板(ぎょばん)」と呼ばれていました。これをたたいて鳴らし、食事や修行の時間を知らせていたといいます。

魚板の魚は、口に「煩悩の珠」をくわえていて、たたくことで煩悩を吐き出させるという意味がありました。

また、そもそもなぜ「魚」のデザインなのかも気になりますね。

魚はまぶたがないので、ずっと目を開けたままです。その姿から「寝る間も惜しんで修行に励むように」という意味が込められているといいます。実際の魚は眠らないわけではなく、目を開けたまま寝ているだけなのですが、その姿自体からなぞらえているのですね。

でも彫られているのが「龍」なのはなぜ?

現在見られる多くの木魚は、魚板が原型であるにもかかわらず、一対の龍が彫られています。これも「鯉(コイ)は急な流れの川に逆らって泳ぎ切ると、龍になる」という故事がもととなっていて、「鯉が見事に試練を成し遂げて龍になった」姿が木魚には彫られている、ということなのです。

(余談ですが、「登龍(竜)門」という言葉もこの故事がもとになっています)

いつから使われている?

木魚は室町時代にはすでに存在していたようなのですが、本格的に広まったのは江戸時代、中国(当時は明)から来日した黄檗(おうばく)宗開祖の隠元隆琦(いんげんりゅうき)が使用してからといわれています。

前述した魚版も、京都府宇治市にある黄檗山萬福寺(おうばくざんまんぷくじ)で、今も見ることができます。

こうして木魚は、しばらくは禅宗系の寺院でのみ使われていましたが、時代が経つにつれてほかのさまざまな宗派でも用いられるようになり、明治時代になって現在の形に落ち着いたとされています。

楽器としての木魚

木魚は仏具としてだけでなく、楽器として用いられることもあります。

日本では歌舞伎の下座音楽(舞台下手で演奏される効果音や伴奏)で使われたり、中国では清の時代に民衆音楽の楽器だったり、ベトナムでは「モー(Mõ)」という名前で伝統的な打楽器として使われています。

また、西洋では「ウッドブロック」「テンプルブロック」という打楽器が木魚から生み出されたといわれていて、リズム楽器として用いられています。

木材をくりぬいて奏でられる音色は、ユニークさとどこかあたたかみもあります。

木魚の正しい使い方

木魚はお寺でよく見かけるものですが、一般家庭でも用いられます。

まず、木魚を置く部分には座布団を敷きます。たたいているときに木魚がずれていかないようにするため、および、たたいた衝撃を吸収して床を傷つけないようにするためです。

木魚をたたくのは専用のバチで、「木魚バチ」「木魚しもく」「木魚バイ」と呼ばれるものです。これで上から木魚をたたくのですが、たたき方にも2種類あります。

〇頭打ち
お経の発声と同時にたたく。たとえば「なーむあーみだーぶ」であれば「な」「あ」「だ」の部分でたたく

〇裏打ち(合間打ち)
いわゆる「バックビート」。「なーむあーみだーぶ」の長音(のばす記号)の部分でたたく

家庭で木魚をたたくときには、時間帯に気をつけましょう。あまりにも早朝や深夜はご近所の「騒音」トラブルに発展しかねません。木魚の音は思った以上に大きく、よく通るからです。

木魚をたたく意味や目的とは

お経を読むときのリズムをとる

特に大勢で読経するときには、唱える声を一定のリズムに保つ必要がありますが、そのメトロノームのような役割を果たすのが木魚です。もちろん、単独で読経する際にも木魚をたたくことで、テンポが取りやすくなります。

煩悩を断つ

前述した通り、木魚の原型となった魚版に彫られている魚は「煩悩の珠」と呼ばれる球体をくわえていて、たたくことでそれを吐き出させるという意味が込められていました。このことから、木魚をたたくことで精神を統一し、煩悩を吐き出す・煩悩を断つという意味合いもあるといわれています。

眠気覚まし

お経は、リズムや音階にあまり抑揚がなく、どうしても単調と感じられることが多いので、読経中に眠気を誘われてしまう恐れがあります。それを防ぐ効果も木魚にはあるといわれています。前述したように、目を開けたまま「眠らない」魚からも眠気覚ましの効果をあやかっているのでしょう。

宗派による木魚の違い

日本の仏教にはさまざまな宗派がありますが、木魚に対する考え方や使い方もさまざまです。主に「木魚を使う」「木柾(もくしょう)や鉦吾(しょうご)を使う」「木魚を使わない」と区分されますが、寺院によって異なることもあります。

天台宗・真言宗・臨済宗・曹洞宗・禅宗

一般的に、木魚を「頭打ち」でたたくことが多い宗派です。

また、天台宗や真言宗では鉦吾(しょうご)といって、お皿を伏せたような金属製の仏具を用いてお経の拍子を取ることもあります。

浄土宗

一般的に、木魚を「裏打ち」でたたきます。これは「お経を邪魔しないように」という考えから来ています。

日蓮宗・法華宗

一般的に木柾(もくしょう)を用います。木魚同様たたいて音を出す仏具で、四角いものもありますが、ほとんどのものは円錐形をしており、「かんかん」という高い音色を奏でます。歯切れがよい音なので、お経を速く読むのに適しているといわれ、祈祷の際には木柾を、法事の際には木魚を、と分けている寺院もあります。

また、日蓮宗でも木柾が作られる以前は木魚を使用していました。

浄土真宗

木魚は用いません。これは浄土真宗の教えで「修行に励んで悟りを開くのではなく、阿弥陀如来の本願のみが万人を救う」と考えられているため、「寝る間を惜しんで修行する」象徴である木魚は使われてこなかったからではないか、といわれています。

木魚の価格

木魚は、その大きさや材質・装飾・彫刻の程度によって、価格が大きく異なります。一般的な家庭用である約15センチのものであれば、座布団と木魚バイとのセットでも1万~2万円程度で入手できます。プラスチックのものなら2千円程度のものもあります。

お寺にあるような高級な木魚であれば、数百万円という値段がついているものもありますが、もちろん一般家庭ではそこまで必要ないでしょう。

木魚はどこで購入できるか

木魚はほかの仏具同様、仏壇・仏具専門店や、インターネットショップで購入することができます。

ただ、いうまでもなくネットショップでは実物を確認することができません。大きさやデザインももちろんですが、木魚はその音色を重要視する人も多いことでしょう。

その点では、実店舗に直接見に行って希望通りのものを見つけるほうが確実といえます。また、実店舗では仏具の専門家の話を聞くこともできるうえ、アフターサービスも充実していることもあり、より安心です。

木魚の製造工程

現在販売されている木魚の大半は、機械で造られたり、中国製品であったりし、手作りのものは愛知県一宮市とその周辺で製作されているだけとなっています。

職人不足は木魚の市場も例外ではなく、後継者がなかなかいないことから、手作りの木魚は今後も希少になっていくことが予想されます。

1.木取り

伐採してあらかじめ2〜3年乾燥させた丸太を木魚の大きさに切り出し、さらに余分な部分を除いて大まかな形を造ります。

丸太の芯はひびが入りやすいため、芯以外の部分から切り出します。

2.整形

ノミとカンナを用いた手作業で、外側の形を造り、細かな部分まで整えていきます。

3.中彫り

専用の特殊なノミで、中をくり抜き、空洞にします。木魚ならではの工程といえます。

4.乾燥

木魚の大きさにより、1〜15年という長い年月をかけて乾燥させます。

5.彫刻

乾燥させた木魚に彫刻をほどこしていきます。彫刻にはさまざまな種類があり、職人の腕の見せどころです。

◯名古屋彫
複雑な曲線などで凝った精緻な彫り方が特徴。「龍頭魚身」の2匹が向かい合い、ひとつの珠をくわえているというデザインが多くなっています。

〇並彫
デザインは名古屋彫同様に2頭の龍が左右に配置されたものですが、名古屋彫を簡略化していて、ほかのデザインに比べ安価なランクです。

〇上彫
並彫より少し複雑な曲線などで仕上げられているものです。

〇龍彫
デザインは上記3つ同様であり、さらに細部まで複雑な装飾がほどこされています。

〇鯱彫
頭が虎で半身は魚という伝説上の生き物である「鯱(しゃち)」のデザインが刻まれているものです。

6.研磨

紙やすりをかけて表面を磨き上げ、ワックスを塗って艶を出して仕上げます。

7.音付け

音色の最終調整を行って、完成です。職人の卓越した技術と長い年月をかけて製作されるため、手作りの木魚は貴重なのです。

まとめ

仏壇さえあまり見かけなくなった近年の住宅で、木魚となればさらに珍しい存在であり、お寺でしか見たことがない、もしくは一度も見たことがない、という人もいることでしょう。由来や意味を知れば、そのユニークな形にも親近感が湧くものです。もし木魚を見ることがあれば、ここで読んだようなエピソードをいろいろ思い出してみてくださいね。

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