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唐木仏壇とはどんな仏壇?構造、工程、使われている木材を解説

お仏壇

仏壇というと、きらびやかで絢爛豪華なものを思い浮かべるでしょうか。または、どっしりと荘厳な重厚感があるものを思い浮かべるでしょうか。

今回ご紹介する「唐木仏壇」は、後者のものです。黒檀や紫檀などの高級な木材を使用して作られ、決して派手ではないのに非常に大きな存在感を放ち、それでいてあたたかみも感じられる仏壇であり、浄土真宗以外の宗派で主に使われています。

どのような歴史経緯があり、どのような特徴を持っているのか。今回は唐木仏壇について、さまざまな観点から解説していきます。

唐木仏壇の概要

唐木仏壇の特徴

唐木仏壇は、黒檀や紫檀などの「銘木」と呼ばれる木材の、木目の美しさを生かして造られる仏壇です。一面漆塗りと金箔できらびやかに輝く「金仏壇」と比べると、一見シンプルで地味なものにも思えますが、木材の本来の美しさが際立つ造りをしているので、非常に重厚で日本の伝統的な美意識を表現する様相となっています。

一基の仏壇を組み立てるための部材は200にも及び、職人が組立てや塗装、彫刻細工などを熟練の技で仕上げた唐木仏壇は、まさに「品のある美しさ」を醸し、伝統的な和室の仏間には本当にしっくりなじむものです。

唐木仏壇のもっとも大事な要素であるのは、木材の種類や材質です。これらが仏壇の価値に大きく影響します。とはいえ、唐木仏壇はすべてが価値の高い木材で造られているわけではなく、表から目に見える部分にだけ唐木が使われているため、「唐木がどれくらい使われているか」という量によっても値段は変動します。

唐木仏壇の歴史

仏壇が世に少しずつ認知し始めたのは、室町時代の中ごろからだといわれています。浄土真宗の蓮如上人が門徒に対して、各家庭に仏壇を安置するように説いたことが始まりでした。

しかし、これは主に浄土真宗の事情であったため、当時の仏壇は位牌ではなくご本尊のみをお祀りするものでした(浄土真宗で祀る対象は先祖の位牌ではなく、あくまでご本尊である阿弥陀如来のみ)。そのため、これは現在の金仏壇(主に浄土真宗で使われる。他宗派でも使用禁止というわけではもちろんない)の原型となったといわれています。

その後は江戸時代にまでお話は進みます。いわゆるキリシタン禁止令が出されると、人々は自分たちがキリシタンはなく仏教徒である証明として、家に仏壇を備えるようになりました。この仏壇は浄土真宗教徒の金仏壇とは違って、質素なものが多かったようです。

唐木仏壇が登場するのは、このあとのことです。昔から日本では「先祖信仰」が人々に根付いていて、ご本尊だけを祀る金仏壇とは異なり、先祖も祀る形式を持つ仏壇が普及していくことも不思議ではなかったのでしょう。現代に見える「浄土真宗は金仏壇、その他宗派の大多数は唐木仏壇」という図式が成り立ったのも、こういったことが理由だといえます。また、唐木仏壇には、宗派による違いはありません。

唐木とは

「唐木」という呼び方は、唐の時代に東南アジア経由で唐に持ち込まれた木材を、遣唐使が日本に持ち帰ってきたことに由来しています。元は黒檀(こくたん)・紫檀(したん)・鉄刀木(たがやさん)といった、日本では産出されない唐木三大銘木(銘木=希少性のある高級木材)を指していましたが、現在では桑(くわ。ただし伊豆諸島で産出される「島桑」に限る)・欅(けやき)・屋久杉・桜・桐(きり)・楡(にれ)・楠(くすのき)・楢(なら)・栓(せん)・槐(えんじゅ)などの国産銘木、硬質で色の出る広葉樹であるメープル・オーク・チークなどの輸入銘木も使われ、これらを総称して「唐木仏壇」と呼んでいます。

また、価格を抑えるために合板やボードが使われ、木目調の塗装や印刷、またはシートを貼ったものもあるほどです。詳しくは後述します。

唐木仏壇に使われる主な木材

黒檀

柿の一種。緻密で堅くて重く、光沢があり、乾燥性がよい、虫や菌に強い、耐久性に優れている、という特徴があります。

原産地は主にインドネシア。本黒檀・縞黒檀・青黒檀などの種類がありますが、仏壇の材料としては縞黒檀がもっとも多く使われています。

黒褐色地に木目が浮き出た重厚な美しさにより、唐木仏壇といえば黒檀、といわれるほど代表的で最高級とされる木材ですが、成長が大変遅いうえに近年はワシントン条約で伐採が禁止されていて、非常に希少性が高く、「木のダイヤモンド」と呼ばれるほど高価です。

紫檀

マメ科の一種。黒檀と並んで唐木の代表といわれる木材で、古くから珍重されてきました。やはり緻密で堅くて重く、成長が遅いという特徴があります。

原産地は主にラオス・タイ・ベトナム。赤みを帯びた褐色で、赤褐色・濃紫色・黒などの縞模様があり、重厚感と力強さのある黒檀に比べると、やわらかさや上品さを備えた仕上がりになります。

黒檀同様、本紫檀は現在では産出量が激減していて希少性が高く、ほかにローズウッドやパーロッサなどが紫檀として使われています。

鉄刀木(たがやさん)

マメ科の一種。堅くて重く、濃い褐色をしていますが、仏壇に使用するときには色抜きして明るい色調に仕上げます。美しいまだら模様の木目を持ち、黒檀・紫檀と並んで「三大唐木」と呼ばれています。

非常に堅くて重いことから「鉄の刀のような木」という名前がついていて、腐食にも強いため、床柱にすることもある木材です。

国内の銘木としては最高級とされています。桑自体は全国各地で産出されますが、仏壇に使われるものはごくわずかであり、その代表的なものが伊豆諸島で産出される「島桑」です。緻密な年輪と美しい木目が特徴となっています。

欅(けやき)

ニレ科の一種。国内の代表的な銘木のひとつです。堅く重く強度や耐久性に優れ、黄色味を帯びてはっきりとした美しい木目を持つのが特徴。

寿命も長いため、仏壇だけでなく、古くから寺社仏閣の建築材や高級家具、伝統工芸品でも用いられてきました。

屋久杉

屋久島に自生する杉で、明るく独特な木目が特徴。軽くてやわらかいことから細かい彫刻に向いていて、仏壇に限らず工芸品にも利用されています。

仏壇の木材として一般的によく見られます。緻密で均一な堅さや強靭さが特徴。淡褐色から塗装で赤みがかかった濃い褐色に変化するため、紫檀に近い見た目に仕上がります。

唐木仏壇の「芯材」と「表面材」

唐木仏壇は「唐木が使われる」からといって、ではすべてが唐木である「総無垢(合板などではなく丸太そのものから切り出した部材)」でできているかというと、そうではありません。

前述した通り唐木は大変貴重なものであり、特に黒檀や紫檀でもし総無垢の仏壇を造り上げるとなると、とんでもなく高価なものができ上がってしまいます。

したがって、現在の唐木仏壇は芯材に唐木以外の木材を使い、表面に銘木を接着させて造り上げられます。つまり、目に見える部分のみに銘木が使われていることが多いのです。

こうすることには理由がふたつあります。ひとつは、前述したようにコストを抑えるためです。すべての部材に唐木を用いると、とても一般的な価格で手に入れられるようなものではない仏壇ができあがってしまいます。

理由のもうひとつは、木材のゆがみや狂いを防ぐためです。木材は自然の素材であるため、年月が経つと反ってしまったり、割れが生じたりしてくることがあり、これを抑えるために、芯材と表面材で別のものを使って分けているというわけです。

芯材にも天然木材が用いられますが、合板や合成木材が使われることもあります。これもやはりコストダウンのためです。

表面材の「練り物(=厚板貼り)」と「貼り物(=薄板貼り)」

上記で解説した表面材を芯材に貼りつける際に、その表面材の厚さによって「練り物(厚板貼り)」と「貼り物(薄板貼り)」といういい方に分けられています。

練り物(=厚板貼り)とは

3ミリ以上の厚さの唐木を芯材に貼ったものを練り物(現在は厚板貼りといういい方もする)といいます。

芯材の全面にだけ唐木を接着したものを「前練り(厚板貼り)」、前後の二面に接着したものを「二方練り(二方厚板貼り)」、三方は「三方練り(三方厚板貼り)」、四方全部は「四方練り(四方厚板貼り)」と呼ばれています。厚板が貼られている面が多いほど、価格は当然高くなっていきます。

貼り物(=薄板貼り)とは

練り物に対して、厚さ0.1~0.8ミリ程度に薄くした唐木を芯材に貼ったものを貼り物(現在は薄板貼りといういい方もする)といいます。厚さ0.2ミリの唐木を芯材に貼りつけた「突き板」も貼り物のひとつです。

調プリント貼り

最近では「転写」という技術を用いて、芯材に直接唐木の木目を印刷したり、木目を印刷したシートを貼りつけたりしたものもあります。こちらは「黒檀調プリント」「紫檀調プリント」と呼ばれ、印刷技術の向上により一見して天然の銘木と区別がつかないものもありますが、もちろん価格は本物よりも安価です。

表面材による価値の違い

前述したように、練り面が多いほど使われている唐木が多いということから、価格は高くなります。

また、厚みがある練り物の場合は彫刻などの細工を施すことができますが、貼り物や調プリントでは不可能です。したがって、練り物であればこそ精緻な彫刻による格調や気品を備えることができ、随所に上品で重厚な貫録を感じることができるのです。

そして芯材を使わずに、あらゆる部分すべてを唐木で造り上げるものが「総無垢」であり、言うまでもなくこれが最高級品です。

つまり格を高い順から並べると、総無垢(最上品)・四方練り(特別高級品)・三方練り(高級品)・二方練り(別上品)・一面厚板貼り・薄板貼り・調プリント貼り(木目印刷シート貼り)となるわけです。

安価な唐木仏壇はよくない、というわけではありませんが、薄板貼りは傷がつきやすく、印刷された木目は年月を経ると色あせてくるものです。価格がすべてではないとはいえ、長い期間大切にすることを考えると、さまざまな面からの検討が必要となるでしょう。

唐木仏壇の内部構造

主に浄土真宗で用いられる金仏壇は、ご本尊である阿弥陀如来のみ祀るため、位牌を安置する場所はありません。対して唐木仏壇は、他のあらゆる宗派にも対応しているため、位牌の場所も設けられています。

したがって基本的には4段構造であり、1段目はご本尊(仏様)を安置する段、2段目は位牌を並べる段、3段目は「五具足(線香・ろうそく1対・供花1対)」を置く段、4段目はお供え物を置く段となっています。

唐木仏壇の製造工程

1.製材

仏壇の部材として銘木の丸太から製剤します。

2.乾燥

自然乾燥と人工乾燥の両方を行い、あわせて数年間という長い年月をかけて木材の水分を飛ばします。乾燥が不十分だと、反りやゆがみ、割れなどの狂いが生じるため、じっくり時間をかけることが必要です。

3.木地加工

木地とは、仏壇の骨組みのことです。仏壇の仕様に合わせて加工していきます。一基の仏壇を造るための部材は200にも及びます。

4.彫刻

精緻な彫刻細工を施していきます。

5.塗装

金仏壇とは違って漆を塗るわけではありませんが、唐木仏壇も木の表面が剥き出しというわけではなく、表面保護のための皮膜を造るため何度も塗装と磨きを繰り返して、美しい光沢が出るように仕上げていきます。

6.組み立て

塗装が仕上がった部材を組み合わせて、完成です。

代表的な唐木仏壇の産地

東京唐木仏壇

東京や埼玉で製造されている唐木仏壇です。江戸時代にさまざまな職人が集まってきた江戸で、指物師が仕事の合間に仏壇を造っていたのが始まりだといわれています。

指物技法を駆使して造られているにもかかわらず、装飾の少ないあっさりとした外観が特徴で、これは豪華さを好む西日本に比べ派手なものを好まない東日本の気質が反映されていると考えられます。1982年に東京都から伝統工芸品の指定を受けています。

大阪唐木仏壇

大阪で製造されている唐木仏壇です。大阪は元々浄土真宗の教徒が多く、現在の大阪城は真宗の本山だったほどで、金仏壇の製造が盛んでした。その後港町としてさまざまな文化が入ってくる街だった大阪では、東南アジアから唐木が輸入されるようになり、唐木仏壇も造られていくようになりました。

特徴としては、

・仏壇内部が三方金である

・両脇の金箔が板ガラスで保護されている

・胴板が桟木で固定されていて、桟木を外すと胴板の取り外しができる

などという点が主に挙げられます。

1985年に大阪府から伝統工芸品の指定を受けています。

徳島唐木仏壇

徳島で製造されている唐木仏壇です。元々家具や鏡台の一大産地だった徳島は、大阪とのつながりが密接だったこともあり、大阪唐木仏壇の製造技術を源流として独自の仏壇を造り上げるに至りました。出荷台数は国内第一位を誇っています。

静岡唐木仏壇

静岡で製造されている唐木仏壇です。歴史は先述した三産地よりも短く、1940年代~1950年代ですが、現在は徳島に次いで第二位の生産台数となっています。静岡も元々木工の有力な生産地であり、日蓮正宗や創価学会の仏壇の産地として躍進を遂げました。これまでは普及品を多く製造してきましたが、近年では高級仏壇も取り扱っています。

まとめ

近年は住宅事情もあり、昔ながらの唐木仏壇が置かれている家はなかなか見なくなりました。というよりも、仏壇そのものを見かける機会も少なくなっているかもしれませんね。

しかし今回ご紹介した唐木仏壇も、主に浄土真宗で使われる金仏壇も、本物はやはり素晴らしいもので、芸術品と言ってまったく差し支えないほどです。

せっかく唐木仏壇の特色を知っていただいたからには、一度仏壇の専門店に足を運び、実物を目にして、その荘厳な雰囲気を肌で感じてみてはいかがでしょうか。

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